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感情移入しやすい順番で読むなら、主人公の視点が中心の『とまどう』本編3巻までをまず一気に。その後、多視点で描かれる外伝シリーズに進むのがおすすめだ。
本編で培った主人公への親近感があるからこそ、外伝で語られる他のキャラの本心がより深く響いてくる。特に第4巻で急展開を見せるサブキャラの行動原理が、外伝を読むと全く違って見えるから面白い。伏線回収の妙味もさることながら、キャラクターへの理解が何層にも積み重なる読み応えがある。
登場人物の関係性を重視するなら、時系列順が意外に面白いかも。『とまどう・ゼロ』から始めて、主要キャラたちの出会いから追体験する読み方だ。特にサブキャラの裏話が収録された短編集を挟みながら進めるのがポイント。
本編だけだと見逃しがちな脇役の心情が、短編を読むことで鮮明になってくる。メインストーリーを読んだ後に短編集に戻ると、また違った発見があるから不思議だ。こうした非線形な読み返しが、この作品の真価を引き出すと思う。
もしあなたがミステリー要素を楽しみたいタイプなら、私はあえてバラバラのエピソードから入ることを提案したい。『とまどう』各巻には独立した謎が仕込まれており、パズルのピースのように全体像が少しずつ見えてくる構造になっている。
例えば第5巻の事件を最初に読んでから、第1巻に戻ると「あの時のあの発言はこういう意味だったのか!」と気付く瞬間がある。作者が用意したこうした仕掛けを存分に楽しむには、固定概念にとらわれない読み方が有効だ。むしろ混乱を楽しむくらいの気持ちで臨むと、作品の複層的な魅力が際立つ。
『とまどう』の世界観に深く入り込むなら、発表順に読むのが最も自然な体験だと思う。作者の成長や表現の変化を追えるし、伏線の張り方やキャラクターの進化も実感できる。
ただ、途中から読み始めた人には、まず『とまどう・リスタート』がおすすめ。このスピンオフは主要キャラの過去を掘り下げており、本編への理解が深まる。そこから本編に戻ると、細かなニュアンスがぐっと味わい深くなる。
シリーズを通して感じるのは、時間軸を行き来する構成が絶妙だということ。二周目に最初から読むと、最初は気づかなかった仕掛けが次々と見えてくる楽しさがある。