僕は台詞そのものに“原作”を求めるより、言葉の系譜を追う方が面白いと思っている。例えばウィリアム・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』には相当する「I love thee」のような表現が何度も現れるけれど、それが直接的に現代日本語の『あいしてる』を生んだわけではない。言語の翻訳、演劇、映画、歌詞といった文化経路を通じて、自然発生的に現在の形が定着したという方が正確だ。
言葉のニュアンスを一つずつ照らし合わせてみると、英語で『あいしてる』をどう表すかは場面によってけっこう変わると思う。
まず基本形として最も無難で広く使えるのが 'I love you' だと私は考えている。日常の愛情表現からプロポーズまで幅広く使えるけれど、英語圏では日本語よりも軽く使われることがあるので、文脈で重さを補う必要がある。情熱や切実さを強めたいなら 'I love you with all my heart' や 'I'm so in love with you' のように修飾を足すと近づく。
場面ごとの代替としては、長年の献身や尊敬を伝えたいときは 'I cherish you'、一目惚れや強烈な恋情を伝えるなら 'I'm head over heels for you' が効く。たとえば映画 '君の名は' の切なさを英語にするときは、短い 'I love you' に比重を置きつつも、台詞や状況でその深さを示す工夫が必要になると思う。