潮の神話を追いかけると、まず古典の訳書を出している出版社が頭に浮かぶ。僕は大学時代からギリシア叙事詩を手元に置いてきたので、翻訳と注釈の質で信頼している版元について触れておきたい。
岩波書店は日本語訳の古典叢書や文庫で知られており、'オデュッセイア'のような作品を通じて海の神ポセイドンが描かれる場面を読みたい人にとって定番だ。英語圏では'Penguin Classics'や'Oxford World's Classics'が原典の新版や注釈つき訳を出していて、学術的な背景や注解を伴った形で
海神像に触れられる。
翻訳や注釈を重視しない層でも、古代神話を下敷きにした現代小説やYA作品を刊行する大手の一般出版も多い。そうした出版社は神話を物語の骨格にして、登場人物や視点を大きく変えるリテリング作品を積極的に出しているから、海神を題材にしたフィクションを探す際はまず古典訳を扱う出版社と大手商業出版社の両方をチェックすると効率が良いと思う。