驚いたのは、
八龍の起源と存在目的がアニメでかなり大胆に書き換えられていたことだ。
原作では八龍が古代信仰や自然霊と深く結びついた象徴的存在として描かれていたのに対し、アニメ版では出自をもっと説明的なもの――例えば人為的に創られた兵器や実験の産物――に寄せている場面が目立った。性格付けも簡略化され、個々のドラゴンの微妙な差異が統合されていることが多い。原作で分散していた役割をアニメ側で集約して、一部の龍にドラマを集中させる手法をとっている。
能力や見た目の扱いも変化している。原作の謎めいた力学は視覚的に派手で直感的な演出に置き換えられ、攻撃のモチーフや必殺技の表現がわかりやすくなったぶん、深い象徴性が薄まっている箇所がある。演出面での厚みは増したが、元々の複雑な設定を好んでいた私には、やや物足りなさも残った。物語全体のバランスを考えると、アニメ化の都合で生じたトレードオフだなと感じる。