作品ごとに扱いはまちまちで、細かい部分の改変が持つ意味合いも違ってくるんだなとよく思う。
僕が特に印象に残っているのは『風の谷のナウシカ』のアニメ化で、原作にある生態系や細かな世界設定の説明が、映像表現に置き換えられている点だ。原作の長い説明のいくつかはアニメだと背景描写や音楽、キャラクターの表情で補完されて、文字で読むときに受ける情報量とは違う印象になる。これは
瑣末な描写が「行間」に回される良い例だと思う。
作中の小物や服装の細部が簡略化されたり、あるいは色彩が強調されて象徴性を持たせられたりすることで、視聴者の受け取り方自体が変化する。原作では注意を向けないと見落としがちな細部が、アニメでは強調されることもあれば逆に省略されることもある。どちらの場合でも、制作者が何を見せたいかがよりダイレクトに伝わるように設計されているのが面白いところだ。