愛は跡形もなく消えゆく松本綾乃(まつもと あやの)が妊娠八ヶ月の時、石川隼人(いしかわ はやと)は同じく妊娠八ヶ月の初恋の女を自宅に連れて帰った。
彼女と子供に正当な立場を与えるために、彼は世間に向けてこう宣言した――自分はすでに綾乃と離婚しており、近いうちに初恋の女と結婚する、と。
綾乃には見えていないと思い込み、彼女に離婚届にサインさせた。
それどころか、自分の別荘で初恋の女とベッドを共にする始末だった。
だが、彼は知らなかった。綾乃にはすべてが見えるようになったということを。
綾乃と初恋の女が同時に階段から落ちたその瞬間、隼人は一切の迷いもなく初恋の女の元へ駆け寄った。
その時、綾乃の心は彼女の子供と共に、葬られたのだった。
けれど本当に綾乃が姿を消すと、隼人は取り乱し始めた……