線を引くときに一瞬ためらうことがあるけれど、その躊躇をデザインの材料に変えるのが面白い。私はまず
ジュリエッタの“シルエット”から描き始めることを勧める。全身の輪郭だけでキャラクターが誰なのか伝わるかどうかを試すと、服のボリューム感や髪型、ポーズの個性がはっきり見えてくる。ここで大事なのは細かい装飾に迷わされず、大きな形を繰り返し探すこと。いくつかのシルエット案を小さなサムネイルで並べて比較すると、どの形がキャラクター性を強調するかが一目で分かる。
次に、プロポーションと顔の特徴に焦点を当てる。目や口の位置、頭身バランスをいくつか変えて試してみると、同じ服装でもまったく違う印象になる。例えば目を大きく丸くすれば幼さや純真さが出るし、少し細長くすればクールさや計算高さを匂わせられる。服やアクセサリーはストーリーを語るための道具だと考えて、機能性(動きやすさ、ポケットの位置など)と装飾性(レース、ボタンの配置、模様)を分けてデザインすると整理しやすい。
色選びと素材感も見落とせない要素だ。パレットは3〜5色に絞って、メインカラー・アクセントカラー・中和カラーを決める。光の当たり方を簡単に想定して、素材ごとのハイライトと影の付け方を練習すると質感が出る。最後に、ポーズスケッチや表情集を作って、動いているときの見え方をチェックする。動きの中で見える服のシワや髪の流れは、絵に説得力を与えるからだ。
模写や参考の取り込みも大いに活用してほしい。私は昔、'ベルサイユのばら'の繊細な衣装描写を模写してから、自分の装飾の引き出しが増えた経験がある。だが模写は盗作ではなく学習のための手段だと割り切り、その後は必ず自分の解釈を加えてオリジナリティを作ること。試行錯誤を楽しみながら、スケッチを量産していけば、ジュリエッタの骨格—見た目だけでなく内面まで伝えるデザイン—が自然と育っていくはずだ。