『エヴァンゲリオン』の神話体系を理解するには、アダムとリリスという二つの「生命の源」の存在を押さえる必要がある。
アダムは第1
使徒と呼ばれ、白き巨人として描かれる最初の人類(正確には使徒)の始祖だ。対するリリスは赤き巨人で、『
旧約聖書』のリリス伝承と異なり、こちらが現在の人類(リリン)の直接的な祖先として設定されている。劇中で地下深く
囚われた状態で発見されるのは、人類がリリスの子孫であるという逆転の発想が効いている。
面白いのは、両者が同じ「生命の器」を
持ちながら対極的な存在として描かれている点。アダムの使徒たちが単一の生命体としての完結を目指すのに対し、リリスから生まれた人類は多様性を持つ存在。この構図が、セカンドインパクトや人類補完計画の根底にある矛盾を象徴的に表現している。