コスプレ写真を眺めながら、どう作ったんだろうと想像するのが楽しい。
マリアヴェルトの衣装は細かい装飾と独特のシルエットが魅力だから、まずはシルエットの再現を優先している。私はトルソーに実寸で仮組みして、ボディラインを合わせつつパーツごとに型紙を起こした。肩のラインやスカートのボリュームは形で勝負するほうが見栄えが良くなる。
素材選びでは、表地に上品な光沢のある布を、裏地に張りのある生地を使って強度を出した。装飾の金具は真鍮風スプレーで仕上げてから少し汚して古色を出すと、画面映えが増す。ウィッグは芯を入れて立ち上げ、前髪はフェイスラインを隠さないように少し軽めに整える。小物は3Dプリントや樹脂複製で複数作り、撮影当日に破損しても差し替えられるよう準備している。こんな手順で、ステージでも写真でも訴求力のあるマリアヴェルト像を作っている。