制作裏話を想像すると、まずテーマの主旋律は一度典型的な形で作られ、その後いくつもの“変奏”を経て現在の形に落ち着いたのだろうと感じる。私は録音現場での微調整を何度か経験しているが、
マリアヴェルトのテーマでも、歌い方やフレージングを場面に応じて変えるつもりで細部を積み重ねたはずだ。
和声進行には意図的な転調が多用され、短いフレーズでマイナーに落ちるとすぐ長調へ戻す。その落差を活かすために、編曲では管楽器セクションを一拍遅らせて入れる“遅延ユニゾン”を使っている。こうしたテクニックで感情の“引き”と“押し”を作り、聴き手を引き込むわけだ。
音響処理においてはダイナミクスのコントロールが鍵で、静かな場面では極端にコンプレッションを緩め、爆発的な場面で一気に締める。結果としてテーマは叙情性と緊張感を同時に持ち、ドラマ性を強烈に高めている。個人的には、そのバランス感覚が『ゲーム・オブ・スローンズ』の劇伴の重みを思い出させた。