音楽シーンに深く根ざした二つのサブカルチャー、ゴシックとエモ。一見似ているようで実は全く異なる美意識がそこには存在する。ゴシックの起源は1980年代のポストパンクムーブメントに遡り、暗黒的な美学と荘厽な雰囲気が特徴だ。バンド『Sisters of Mercy』や『Bauhaus』の重厚なサウンドは、ゴシック文化の象徴と言える。ヴィジュアル面では黒を基調とした装飾的な衣装、宗教的なモチーフ、ヴィクトリア朝風の要素がよく用いられる。
一方エモは2000年代初頭に流行したエモーショナル・ハードコアから発展したもの。『My Chemical Romance』や『Jimmy Eat World』の音楽に代表されるように、感情的な歌詞とメロディアスなサウンドが核となる。ファッションはスキニージーンズにコンverseのスニーカー、目の周りの濃いアイラインなど、よりカジュアルで若者文化に近い。根本的な違いは、ゴシックが死や神秘への傾倒を示すのに対し、エモは青年期の不安や人間関係に焦点を当てている点だろう。