旋律自体は決して大仰ではないが、間奏での音の“余白”により感情の深まりが生まれる。僕はこの要素を'東京喰種'で感じた音響処理と重ね合わせて観ることがあるが、両者ともに音で孤独や逸脱を補強する点が共通する。ただし'Boku no Hero: Vigilantes'ではより街中の生臭さや現実感を重視しており、音が場面の倫理判断を導く小さな灯りのように働く。
劇中で流れる一音一音に耳を澄ますと、作品のトーンがぐっと立ち上がるのが伝わってくる。'Boku no Hero: Vigilantes'のサウンドトラックは、正義と逸脱の境界線を音で示す役割を果たしていると僕は思う。低域のうごめくベースや歪んだギターの断片、あえて冷たく響かせたシンセのテクスチャが、表面的なヒーロー像とは異なる「裏側」の空気を作り出しているからだ。