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オックスフォード大学の研究者が書いた『並外れた心』は、サヴァン症候群を持つ人々の認知プロセスに焦点を当てた作品。記憶冠軍者が使う『記憶の宮殿』技法とサヴァン記憶の類似性を指摘する部分が特に示唆に富む。
絵画を一眼で精密に再現できる芸術的サヴァンや、一度聞いた音楽を完璧に再現できる音楽性サヴァンの事例を通し、人間の潜在能力の一端が見えてくる。最後の章では、サヴァン研究が通常の認知機能の理解にどう貢献できるかが議論されており、知覚の多様性について深く考えさせられる。
『レインマン』のモデルとなったキム・ピークの実話に触発された『脳のなかの天使』は、サヴァン症候群の驚異的な能力と脳の神秘に迫る良書だ。著者のダニエル・タメット自身がサヴァン症候群であり、数字と言語に対する彼の独特な知覚を詩的な文章で綴っている。
特に印象深いのは、πを2万桁以上暗唱できる能力についての描写で、数字が色や形として感覚的に捉えられる共感覚体験が鮮やかに再現されている。後半では、通常の教育を受けた後も能力が衰えないケースと、社会的スキルを獲得していく過程のバランスについても言及があり、人間の脳の可塑性について考えさせられる。
『サヴァン症候群の謎』は医学的観点からこの症状を分析した一冊。症例研究が豊富で、突然サヴァン的な能力を獲得した成人のケースや、自閉症スペクトラムとの関連性がデータと共に示されている。
専門書ながら平易な文章で書かれており、脳損傷後に芸術的才能が開花した建築家の事例など、臨床現場で観察されたエピソードが興味深い。後半では神経可塑性とサヴァン能力の関連についての最新研究にも触れ、なぜ特定分野に突出した能力が現れるのかについての仮説が提示されている。