危篤後、元彼が私の腎臓提供に気づく月島雅人(つきしま まさと)が世界のテクノロジーの頂点を極め、表彰台に立った日。
私・牧瀬心未(まきせここみ)は腎不全の治療費を支払うことができず、病院から治療を打ち切ると宣告された。
テレビの中で、司会者が彼に一番感謝している人に電話をかけるように促した。
彼は迷うことなく、私の番号に電話をかけた。
「心未、俺から離れて後悔したか?」
手に持った高額な治療費明細書は、握りしめられてシワシワになっていたが、私は平然を装って答えた。
「雅人、あなた今や有名人じゃない。私を養ってくれない?」
画面の中の彼は無表情のまま電話を切り、その後、聞き慣れた声が感情を込めずに耳に突き刺さった。
「今、感謝したい人は誰もいない」
しかし、彼は知らない。彼が危篤状態になった時、腎臓を彼に提供したのが私だということを。