夏の終わりに聴く『ズルい人』は、日本語のニュアンスを英語に移す難しさを痛感させる曲だ。
歌詞の核心である『ズルい』という表現は、単純に'cheating'と訳せば済む話ではない。『ずる賢さ』や『計算高さ』を含んだ複雑なニュアンスが、日本語特有の曖昧さで包まれている。特に『私をズルいって言わないで』というフレーズは、'Don't call me sly'では軽すぎ、'Don't accuse me of being cunning'では重すぎる。この狭間で、英語圏のリスナーに同じ情感を伝えるには、'Don't label me as the clever one'のような創造的な訳が求められるだろう。
リズムと韻を重視するなら、'underhanded'や'fox-like'といった比喩的な表現も使えるが、原曲の切なさを保つためには、むしろシンプルな'It's not fair to call me unfair'という逆説的な表現が効くかもしれない。翻訳は単なる言語変換ではなく、文化の架け橋であることを思い知らされる作業だ。