ナツの“最強技”について語るとき、まずどの技を指すかで話が変わる。多くのファンがいわゆる“最強”と呼ぶのはナツの総合的な力の飛躍を意味する『ドラゴンフォース』だが、原作で最初に目にする代表技としては“火竜の咆哮”(Fire Dragon's Roar)というブレス系の技がある。僕はその違いをはっきりさせてから、それぞれの初出と効果を順に説明したい。
まず“火竜の咆哮”は『フェアリーテイル』の序盤から登場する、ナツの代名詞的な技だ。使い方はシンプルで、口から強烈な火炎を噴き出すというもの。威力の幅が広く、至近距離の焼き切りから遠距離への直線的な炎弾まで場面に応じて変化する。炎が単なる熱攻撃にとどまらず“竜の炎”としての性質を持つため、普通の炎魔法とは違って魔力を直接焼き切ったり、魔法耐性を貫通する描写が多いのも特徴だ。攻撃の規模はナツ自身の魔力や感情、相手の強さに比例して増減し、強烈な一撃では建物や地形を破壊するほどの出力になる。一方で連発は体力と魔力を消耗するため、長期戦では温存が必要になる。
一方で“ドラゴンフォース”は単なる一技ではなく、ナツの龍殺し魔法(ドラゴンスレイヤー魔法)が全開になった状態を指すパワーアップ形態だ。原作では中盤以降の重要な対戦でその存在感が強調され、外見にも龍的な要素(鱗めいたオーラや体の変化)が現れることが多い。効果としては基礎魔力と攻撃出力の大幅な上昇、耐久力の強化、そして“ドラゴンの力を帯びた技”の増幅が挙げられる。例えば“火竜の咆哮”がドラゴンフォース下で放たれると単なるブレス攻撃の領域を超え、広範囲の焼却、衝撃波の付与、大規模な熱エネルギーの放出といった付加効果を伴うようになる。さらにドラゴンフォースは相手が龍や強烈な魔力を持つ者であっても対抗できるポテンシャルを与える反面、持続時間が限られ、使用後の反動や疲労が非常に大きい点が弱点だ。
総括すると、“火竜の咆哮”は原作のかなり早い段階で登場するナツの基本かつ象徴的な技であり、幅広い応用性と即効性が武器。一方の“ドラゴンフォース”は原作中盤以降に描かれる大技で、ナツの全能力を引き上げる形で既存の技を桁違いに強化する。どちらが“最強”かは状況次第だが、派手さと破壊力で言えばドラゴンフォース下の技群が最終的な切り札として機能することが多い、そんな印象を俺は持っている。