意外と知られていないけど、『フェアリーテイル』の
ナツ・ドラグニルの声は日本語版と英語版でそれぞれ異なります。日本語版では柿原徹也さん、英語版ではトッド・ハベコーン(Todd Haberkorn)さんが代表的な担当として知られています。どちらの演技もナツの熱さや無鉄砲さ、仲間への深い愛情を表現するうえで核になっているので、キャラクターの魅力を大きく引き上げているのが特徴です。
柿原徹也さんの代表作としては長年アニメ界で幅広い役を演じてきた実績があり、元気で突進するタイプの少年役から少し陰のある青年役まで幅広くこなします。ナツに関しては、声の張りとエネルギー感で場を引っ張るタイプの演技を見せています。叫びや掛け合いの多いシーンでの息づかいや、コミカルなリアクションを利かせたテンポ感が印象的で、感動的な場面では急に声を落として感情の奥行きを出すなど、起伏のつけ方がうまいです。こうした切り替えがあるからこそ、単なる熱血キャラにとどまらず、仲間を思う優しさや孤独を感じさせる瞬間も説得力を持ちます。
トッド・ハベコーンさんは英語吹替版での顔とも言える存在で、海外ファンにも強く支持されています。演技の特徴はとにかくテンションの高い熱演と、コミカルなタイミングの良さ。叫びや冗談を飛ばすシーンでの勢いがありつつ、仲間や大切なものが危ないときには一転して凄まじい迫力を見せることができます。英語版ならではのアプローチで、台詞の間や強弱を多少変えることで別の魅力を引き出しているのが面白いところです。英語吹替でアニメに入った人が最初に抱く“ナツ像”は、ハベコーンさんの演技によるところが大きいでしょう。
両者に共通しているのは、ナツというキャラクターが持つ「直情的で真っ直ぐな心」を大事にしている点です。掛け合いでのテンポ感、戦闘シーンの叫びや高揚感、仲間との絆を語る静かなシーンでのニュアンス──どれもナツを魅力的に見せるための演技の引き出しとして活かされています。個人的には、声優さんたちのこうした細かい選択があるから、同じキャラクターでも版ごとに違う味わいが出るのが楽しいと思っています。