音楽好きの仲間内で話題に上ると、一番に名前が挙がる曲がある。
『
ノラのテーマ』がサウンドトラック中で最も人気が高いと感じる理由は、そのメロディの強さにある。耳に残るイントロと、シンプルながら繰り返されるモチーフが、場面の感情を一気に持ち上げる作りになっているからだ。個人的に繰り返し聴くのは、ピアノ主体のアレンジからオーケストラへと自然に広がる部分で、そこがファンカバーや弾いてみた動画でも必ず取り上げられる箇所になっている。ストリーミングサービスの再生数や、ファン投票の結果でも常に上位に位置しているのが目に見えて分かる。
作曲の技術的な話をすると、旋律の音域とリズムの取り方が絶妙で、シーンの盛り上がりに合わせて細かく変化するダイナミクスが作り手の狙いを的確に伝えているように思う。だからこそ演奏会やイベントで生演奏される機会が多く、ライブ映像が拡散されるたびに新たなファンが増える循環が出来上がっている。僕の周りでもピアノ譜やスコアを買う人が多く、楽器演奏を通じて曲の人気がさらに強固になっている印象だ。
感覚的には、物語の核となる感情を端的に表現している点が人気の源泉だと思う。メロディだけでシーンを想起させる力があるため、サウンドトラック全体を代表する顔としてファンの間に定着している。個人的には、その曲を最初に聴いたときの鼓動の高まりを今でも鮮明に覚えているし、聴くたびに当時の感情がよみがえるからこそ何度でも手に取ってしまう。