カノン進行の曲と普通の曲の違いを考えると、まず音楽の構造そのものが全然違うんだよね。カノン進行は特定のコード進行(I-V-vi-III-IV-I-IV-V)に沿って作られるから、聴いてすぐ『あ、これカノンだ』と分かる。例えば『Let It Be』や『瞳をとじて』みたいな名曲がこのパターンを使っている。
普通の曲はもっと自由で、アーティストの個性がコード進行やメロディに直接反映される。カノン進行はある種の『テンプレート』みたいなものだけど、それが悪いわけじゃない。むしろ、聴き手に安心感を与える効果がある。懐かしさを感じるのは、この進行が西洋音楽の歴史の中で何百年も使われてきたからかもしれない。
面白いのは、カノン進行の曲でもアレンジや歌詞次第で全く別の印象を与えられること。型にはまっているけど、型破りな表現ができるんだ。
パッヘルベルのカノンはクラシック音楽の中でも特にアレンジのバリエーションが豊富で、ピアノ版だけでも様々な解釈がありますね。
George Winstonの『December』に収録されているアレンジは、シンプルなメロディーラインを情感たっぷりに奏でるスタイル。左手のアルペジオが雨粒のように優しく、冬の静けさを思わせる仕上がりです。特に中間部で転調する際のニュアンスの付け方が絶妙で、何度聴いても胸にじんと来ます。
一方、近代的なアプローチならLee Gallowayのジャズテイストを加えたバージョンがおすすめ。伝統的な形式を保ちつつ、アドリブ部分で現代的なハーモニーを散りばめているのが特徴です。ピアノトリオ編成で録音されたライブ映像は、即興の妙味が感じられて特に素晴らしいです。