比較の視点を少し変えてみると、古典の魔術師と現代の創作物に出る魔法使いは、役割の幅と人間性の描き方がまるで違っていることに気づく。
古典的な伝承、特に'Le Morte d'Arthur'に描かれるマーリンは、預言者であり策略家であり、物語の外枠を動かす力を持つ存在だと私は捉えている。彼は物語を成立させる原理のようなもので、超自然的知識と運命への介入が強調される。行動の動機は曖昧で、冷徹に見えることもある。
それに対して'The Once and Future King'での描写を比べると、マーリンは教師であり、孤独を抱えた人間らしい人物に近づく。ここでは彼の道徳的迷い、弟子との関係性、失望感が物語の心臓部を打つ。伝承の神秘性を保ちつつ、人間としての弱さやユーモアが付け加えられ、読者は彼に共感しやすくなる。
結局のところ、伝説のマーリンは物語を動かす象徴としての力を持ち、原作や再話ではその力を物語的・心理的に解体して人物像を豊かにしていく。どちらが「本当」かではなく、どの角度で人物を照らすかが重要だと私は考えている。