ベルテ作品のオーディオブックは、小説とは異なる形で情感が伝わってくるのが特徴ですね。ナレーターの息遣いや間の取り方、BGMの効果までが作品世界に没入する手助けをしてくれます。『黄昏の誓約』のクライマックスで
雨音の効果音が入っていた時は、小説では気づかなかった情景の重みを初めて実感しました。ただし、細かな描写や
地の文のニュアンスが省略される傾向があり、それが気になる人もいるでしょう。
小説は自分なりのペースで読み返せるのが強みです。難しい表現があっても前のページに戻って確認できますし、重要なセリフを何度も噛みしめられます。オーディオブックは流れていくので、集中力を必要としますが、その分プロの演技による感情表現が加わります。どちらが優れているというより、作品の異なる側面を浮き彫りにする別の体験だと考えています。