恋愛ゲームの世界から脱出する方法はイケメンからの告白!?

恋愛ゲームの世界から脱出する方法はイケメンからの告白!?

last updateDernière mise à jour : 2025-05-02
Par:  来須みかんComplété
Langue: Japanese
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高校二年生の白川穂香は、ある日、目覚めるとなぜか現実世界がゲームになっていた。 この世界から脱出できるたった一つの方法は、学園内のイケメンから告白されること。 自称幼なじみのサポートキャラ高橋レンと、この世界から脱出するために恋人のふりをすることになったが、なぜか他のイケメン達ともどんどん仲がよくなっていき、彼らの秘密が明らかに。 化け物退治の専門家!? 異世界を救った勇者!? ホラーゲームの主人公!? 彼らの協力を得て、穂香はこの世界の謎を解き明かし脱出を試みる。

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Chapitre 1

第1話 幼馴染はいませんけど?

ベッドの中で心地好い眠りについていた穂香(ほのか)は、聞きなれた電子音で目が覚めた。朝6時にセットしていたスマートフォンのアラームが鳴っている。

(学校に行きたくない……)

そんなことを思いながら、枕元に置いていたスマホを手探りで探す。

高校二年生になったばかりの穂香は、一年生のときに仲が良かった友達全員とクラスが離れてしまった。

別にイジメにあっているわけではない。だけど、仲がいい友達がクラスにいないことがつらい。

「はぁ……」

穂香のため息は、鳴り続ける電子音にかき消された。アラームを止めたいけど、スマホが見つからない。

「あれ?」

スマホを探すために、穂香はベッドから起き上がった。すると、部屋の隅にメガネをかけた見知らぬ男子高校生が佇んでいることに気がつく。

(あっ、これは夢だ)

普通なら悲鳴を上げるところだけど、男子高校生の髪と瞳が鮮やかな緑色だったので、穂香はすぐに夢だと気がついた。

穂香を見つめる男子高校生は顔がとても整っていて、まるでマンガやゲームのキャラクターのように見える。

「起きましたね。アラームは消しますよ」

そんなことを言いながら男子高校生は、穂香のスマホのアラームを慣れた手つきで止めた。

「穂香さん、おはようございます」

「え? どうして、私の名前を?」

と、言いつつ『そういえば、これは夢だった』と思い出す。

夢なら知らない人が穂香の名前を知っていても不思議ではない。

「えっと……どちらさまですか?」

おそるおそる尋ねると、男子高校生はニッコリ微笑んだ。

「嫌だなぁ、寝ぼけているんですか? 私はあなたの幼なじみのレンですよ。毎朝、穂香さんを起こしに来ているでしょう?」

「幼なじみ? レン?」

穂香には、レンという名前の知り合いはいなかった。そもそも幼なじみと呼べるような関係の人すらいない。

(なるほど、これはそういう設定の夢なのね。夢だったら、いないはずの幼なじみがいても問題ないか)

穂香は、初対面の幼なじみに遠慮がちに話しかけた。

「えっと……。とりあえず、あなたのことは、レンさんって呼んだらいいですか?」

「レンさんだなんて! いつも私のことはレンと呼んでいるじゃないですか」

「あっ、そうなんですね」

「穂香さん。いつものようにもっと気軽に話してください」

(そんなことを言われても……)

穂香はその『いつも』を知らない。

「でも、レンさん……じゃなくて、レンは、丁寧な話し方ですよね?」

「私はそういうキャラなので」

「キャラ?」

「ほら、メガネをかけて丁寧語で話すキャラって、マンガやゲームに出てきませんか?」

レンがかけているメガネを指で押し上げた。

(変な夢……)

穂香がため息をついたとき、部屋の外から「穂香ー! いつまで寝ているのー?」と母の声が聞こえる。

すぐにガチャリと部屋の扉が開いたけど、そこにはなぜか誰もいなかった。

「穂香ったら、起きていたのね。レン君、いつもうちの子がごめんなさいね」

誰もいないのに母の声だけが聞こえてくる。レンは、誰もいない空間に向かって「おばさん、お気になさらず」と微笑みかけた。

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珠希
珠希
very goooood!
2025-06-13 18:30:20
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第1話 幼馴染はいませんけど?
ベッドの中で心地好い眠りについていた穂香(ほのか)は、聞きなれた電子音で目が覚めた。朝6時にセットしていたスマートフォンのアラームが鳴っている。(学校に行きたくない……)そんなことを思いながら、枕元に置いていたスマホを手探りで探す。高校二年生になったばかりの穂香は、一年生のときに仲が良かった友達全員とクラスが離れてしまった。別にイジメにあっているわけではない。だけど、仲がいい友達がクラスにいないことがつらい。「はぁ……」穂香のため息は、鳴り続ける電子音にかき消された。アラームを止めたいけど、スマホが見つからない。「あれ?」スマホを探すために、穂香はベッドから起き上がった。すると、部屋の隅にメガネをかけた見知らぬ男子高校生が佇んでいることに気がつく。(あっ、これは夢だ)普通なら悲鳴を上げるところだけど、男子高校生の髪と瞳が鮮やかな緑色だったので、穂香はすぐに夢だと気がついた。穂香を見つめる男子高校生は顔がとても整っていて、まるでマンガやゲームのキャラクターのように見える。「起きましたね。アラームは消しますよ」そんなことを言いながら男子高校生は、穂香のスマホのアラームを慣れた手つきで止めた。「穂香さん、おはようございます」「え? どうして、私の名前を?」と、言いつつ『そういえば、これは夢だった』と思い出す。夢なら知らない人が穂香の名前を知っていても不思議ではない。「えっと……どちらさまですか?」おそるおそる尋ねると、男子高校生はニッコリ微笑んだ。「嫌だなぁ、寝ぼけているんですか? 私はあなたの幼なじみのレンですよ。毎朝、穂香さんを起こしに来ているでしょう?」「幼なじみ? レン?」穂香には、レンという名前の知り合いはいなかった。そもそも幼なじみと呼べるような関係の人すらいない。(なるほど、これはそういう設定の夢なのね。夢だったら、いないはずの幼なじみがいても問題ないか)穂香は、初対面の幼なじみに遠慮がちに話しかけた。「えっと……。とりあえず、あなたのことは、レンさんって呼んだらいいですか?」「レンさんだなんて! いつも私のことはレンと呼んでいるじゃないですか」「あっ、そうなんですね」「穂香さん。いつものようにもっと気軽に話してください」(そんなことを言われても……)穂香はその『いつも』を知らない。「でも、レン
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第2話 母の声がするのに姿は見えない
そこには誰もいないのに、確かに母の声がする。「穂香(ほのか)。早く朝ご飯、食べちゃって」扉が閉まると、母の声は聞こえなくなった。穂香には、何が起こっているのか理解できない。「……え? 今の、何?」呆然としている穂香に、レンは「あなたのお母さんが来たんですよ」と伝える。「でも、お母さん、いなかったよ⁉ 声はしたけど、いなかった!」そんなことあるはずないのに、そうとしか言えない。レンは「ああ」と言いながら小さく頷いた。「おばさんは、メインキャラではなくモブキャラですからね。立ち絵がないんですよ」「モブキャラ!? 立ち絵? 何を言ってるの?」動揺する穂香を、レンは不思議そうに見つめている。「モブキャラは、重要じゃない登場人物のことです。ほら、マンガやゲームでは通行人に顔が描かれていないことがあるでしょう?」「それとお母さんの姿が見えないことになんの関係が……って、あっ! これは夢だった」穂香は、ホッと胸をなでおろした。レンは、そんな穂香の肩にそっと手をおく。「夢ではありませんよ。これは現実です」「は?」穂香に向けられた緑色の瞳は、どこまでも真剣でふざけているようには見えない。「初めまして。恋愛ゲームの世界に閉じ込められてしまった主人公の白川穂香さん。私はあなたの幼なじみ兼お助けキャラ役の高橋レンです。この世界から脱出するために、協力しましょう」「……」穂香には、レンが何を言っているのかさっぱり分からなかった。ニッコリと微笑むレンを無視して、穂香はこのおかしな夢から覚めるためにもう一度ベッドにもぐりこむ。すぐに眠りへと落ちていく。まどろみの中で、聞きなれた電子音が聞こえた。「……変な夢、見た……」穂香がベッドから起き上がると、ベッドの側に立っている緑髪の男子高校生が、慣れた手つきで穂香のスマホを操作してアラームを止める。そして、さっき聞いた言葉を繰り返した。「初めまして。恋愛ゲームの世界に閉じ込められてしまった主人公の白川穂香さん。私はあなたの幼なじみ兼お助けキャラ役の高橋レンです。この世界から脱出するために、協力しましょう」「いやいやいや! 私に幼なじみはいませんからっ! どうして夢から覚めないの!?」レンはあきれたようにため息をつく。「穂香さん、主人公が『起きない』という選択肢は、この世界には設定されていない
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第3話 ゲームってそういうものでしょう?
確かに穂香(ほのか)は、ベッドから下りた。それなのに、いつの間にか、通学路を歩いている。「えっ!?」それはまるで、家からここまで瞬間移動でもしたようだった。しかも、穂香はいつも着ている制服ではない別の制服を着ていた。その制服は、隣を歩くレンとよく似たデザインで、レンのズボンと穂香のスカートは同じチェック柄だ。二人で並んで歩いていると、こういう制服の高校に通っている生徒に見える。しかし、穂香が通っている学校は、こんな制服ではない。不思議なことに穂香には、朝ご飯を食べた記憶も、着替えた記憶も、ここまで歩いてきた記憶もあった。「ど、どういうこと!?」レンは「日常パートをダラダラと流したら、ゲームプレイヤーが飽きてしまうので自動でカットされる仕様になっています」とニコニコ笑顔で教えてくれる。「自動カット!?」「重要な場面では、選択肢も出てきますよ。こんな風に」レンの言葉で、穂香の目の前に透明なパネルが二枚浮かび上がった。パネルにはそれぞれ【はい】と【いいえ】が書かれている。「本当にゲームの世界みたい……」「みたいではなく、ここはゲームの世界なんですよ」穂香が「恋愛ゲーム、だったっけ?」と確認すると、レンはコクリと頷いた。「穂香さんは、恋愛ゲームはご存じですか? 乙女ゲームとも呼ばれることがありますが」「それって、いろんなイケメンと恋愛を楽しむゲームだよね? くわしくないけど、広告で見たことはある」「そうそう、それです。あなたは、そのイケメン達を攻略して恋愛を楽しむゲームの中に、閉じ込められています」レンは、不安そうな表情を浮かべながら「ここまでは、大丈夫ですか?」と穂香に尋ねた。「う、うん。ようするに、この夢では、私は恋愛ゲームの世界に紛れ込んでしまっていて、ここから脱出するためにレンと協力しないとダメってことだよね?」「夢ではないんですけど……。まぁ、もう夢でいいか」レンは、キリッとした表情をこちらに向ける。「そうなのです。この恋愛ゲームの世界から脱出するために、これから一緒に頑張りましょう!」「何を頑張ればいいのか分からないけど……もし、脱出できなかったら私はどうなるの? まさか、死んでしまう、とか?」「いいえ。脱出できるまでやり直しをさせられるだけです。ついさっき、私があなたのスマホのアラームを止めるシーンを二回繰り返し
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第4話 この世界から脱出する方法
この世界から脱出できなければ、同じ日を繰り返す。(ゲームなら問題ないけど、それが現実に起こったらおかしくなってしまいそう……)この世界は夢だと分かっていても、目が覚めるまで穂香はここにいないといけない。(だったら、レンと協力したほうがいい)穂香(ほのか)は隣を歩くレンを見上げた。「これから何をすればいいの?」「この恋愛ゲームの世界から脱出する方法は、たったひとつです」レンは人差し指をたてる。「主人公である穂香さんが、イケメンから告白されること」「……えっと、ふざけてる?」戸惑う穂香に、レンは「まさか!」と大げさに驚いて見せた。「穂香さん、よく考えてみてください。この世界は恋愛ゲームなんですよ? 恋愛ゲームは何をするゲームですか?」「それは……恋愛だね」「そうです。だから、この世界はイケメンと恋愛するための場所なんですよ。イケメンと無事に恋人関係になったらゲームクリアです」「もしかして、ゲームをクリアしたら、この世界から脱出できるってこと?」「そうです!」ニコニコ笑顔のレンを見て、穂香は申し訳ない気持ちになった。「脱出方法は分かったけど、私には無理そう」「どうしてですか?」どうしてと言われても、穂香はこれまで告白したこともなければ、されたこともない。もちろん、付き合ったこともない。「だって私、美人じゃないし……」「恋愛ゲームの主人公が美人とは限りませんよ」「そうかもしれないけど……」今の穂香は恋人より、クラスに仲のいい友達がほしかった。友達がいなくて困っているのに、恋人のことなんて考えられない。穂香が黙り込んでいると、レンは穂香が不安になっていると思ったようだ。「大丈夫ですよ! あなたには、幼なじみ兼お助けキャラの私がついているのでご安心ください」レンは、自信たっぷりに右手を自分の胸に当てる。「あなたがイケメンから告白されるように、私が全力でサポートします」そういうレンの顔は、ものすごく整っている。(自分もイケメンなのに……)穂香はいいことを思いついた。「私じゃなくてレンが可愛い女の子に告白されるのを目指したほうがいいんじゃない? そのほうが早いと思う」穂香はとてもいいアイディアだと思ったのに、レンに「そういうゲームではないので」ときっぱり断られてしまう。「この世界の主人公は、穂香さん。あなたなのです
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第5話 恋愛相手のイケメンたち
慌てる穂香を無視して、レンは「右手をご覧ください」と、まるでバスガイドさんのように案内を始めた。レンの言葉と同時に、通学路を歩いていたはずなのに、風景が見慣れた学校前に切り替わる。「また急に場面が!?」と驚く穂香に、レンは「そういう仕様です。慣れてください」と淡々と返した。学校は、穂香が通っている学校だった。「制服が違うから、てっきり別の学校に通うのかと思っていたけど、さすがは夢。そこらへんは適当なんだね」穂香の独り言を聞いたレンは「まぁ、そういうことにしておいてください」と笑っている。学校前は、ざわざわして大勢の人がいそうな気配がするのに、穂香の目には一人の金髪男子しか見えない。「留学生?」「いいえ、あれは生徒会長ですね」レンの言葉に、穂香は首をかしげた。「でも、この学校の生徒会長は、黒髪の日本人だよ? 何回か遠目で見たことあるから」「ああ、それについては、恋愛相手が一目で分かるように、髪の色と目の色が変わっています。ゲームのキャラクターっぽいでしょう? 生徒会長は金髪金目ですね」「それは確かにキャラクターっぽい……って、生徒会長が恋愛する相手なの!?」レンは「はい、そうです。彼、イケメンでしょう?」とニコニコしている。「確かにイケメンだけど……。生徒会長って私より先輩だし、そもそも一度も話したことないよ!?」「まぁまぁ、とりあえず近づいてみましょう、ね?」穂香は、レンに背中を押されて無理やり生徒会長の側に連れて行かれた。すると、姿はないのに複数の女子生徒の声が聞こえてくる。「生徒会長、おはようございますぅ!」「きゃー! 今日もカッコいいー!」「こっち向いてー!」穂香の目には、生徒会長が一人で困った顔をしながらフラフラしているようにしか見えない。穂香は、小声でレンに尋ねた。「生徒会長、一人で何しているの?」「どうやら女子生徒に囲まれて前に進めないようですね」「女子生徒なんてどこにもいないけど!?」レンは「ですから、モブキャラに立ち絵はないんですって」と教えてくれる。「あっそうか、私のお母さんも見えなかったもんね……変な世界」「受け入れてください」「うん、まぁもう受け入れつつあるよ。それで、こんな大人気な生徒会長に、何をどうしたら私が告白されるわけ? そんなの絶対に無理……」レンは「まぁまぁ、そう悲観せず。他
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第6話 まずはお友達から
校内にチャイムが鳴り響くと、また風景が切り替わった。いつの間にか日が暮れて、教室がオレンジ色に染まっている。放課後の教室で、穂香はレンと二人きりになっていた。「本当に変な世界だね。朝の教室から放課後まで時間が飛んだのに、授業を受けた記憶があるし、授業内容も覚えているなんて……」ため息をつく穂香に、レンは微笑みかける。「そのうち慣れますよ。で、誰と恋愛するか決めましたか?」「いや、普通に考えて全員無理でしょ」「やる前からそんなことを言ってはいけません。決めないという選択肢はないんですからね?」口調は穏やかだが、レンから『早く決めろ』という強めの圧を感じる。「でも……」「私がサポートしますから」「いや、だって……」穂香はレンに両肩をつかまれた。レンの口元は笑っているが、瞳は少しも笑っていない。「穂香さん、これからずっとこの世界を彷徨い続けるつもりですか? 何回も何回も何回も同じ朝を繰り返し続けると?」「ご、ごめんなさい!」つい謝ってしまうくらいの迫力がレンにはあった。あまりに必死なレンを見て、穂香はふと気がつく。「あっもしかして、レンも私と一緒で、この世界に閉じ込められている、とか?」「まぁ、そのような感じです」「そうだったんだ。だから、ずっと『協力して脱出しましょう』って言ってたんだね」どうしてレンが協力してくれるのか?どうしてそんなに必死なのか?その理由が穂香は、やっと分かった。(ずっとこんなおかしな世界にいるなんて嫌だよね。自分のためにも、レンのためにも誰かと恋愛しないと……)穂香は、おそるおそる尋ねる。「念のために確認するけど、恋愛するのは一人だけでいいんだよね?」レンは「当たり前です」と眉間にシワを寄せる。「良かった……全員と恋愛しないとダメとかじゃなくて」「ご安心ください。誰か一人から告白されると、この世界から脱出できます。失敗しても一日目の朝に戻されるだけなので、告白されるまで何回でもチャレンジできますよ」「そっか、分かった。じゃあ、いきなり恋愛相手を決めるのは無理だから、皆と少しずつ仲良くなれるように努力するのはどう?」レンは「ふむ」と言いながら考えるような仕草をする。「なるほど。まずはお友達からということですね?」「そうそう、だって私、さっき紹介された3人の誰とも、お友達ですらないからね? 
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第7話 イケメン(赤)は名家の御曹司
次の日の朝、穂香が目を覚ますと目の前に文字が浮かんでいた。【10月5日(火)朝/自室】「うわっ!? 何これ?」「穂香さん、おはようございます」当たり前のように部屋にいるレンにも同じように穂香は「うわっ!?」と驚いてしまう。「どうかしましたか?」「あ、えっと、日付が目の前に浮かんでいるから、驚いちゃって……」「ああ、それですか。急に風景が変わってややこしいので、そういうのがあったほうが便利でしょう?」「そうだけど……。あの、レンはどうして私の部屋にいるの?」穂香の質問にレンは首をかしげる。「幼なじみが毎朝、起こしにくるのは、あるあるでは?」「そんなあるあるはないよ。もう起こしに来なくていいから」今さらだが、レンに寝顔やパジャマ姿を見られるのが恥ずかしくなってきた。穂香がベッドから下りるとまた風景が変わり、目の前に【同日の朝/教室】の文字が浮かぶ。穂香は、いつの間にか朝ご飯を食べて、身なりを整え、制服に着替えた状態で教室にいた。「まだ驚いちゃうけど、この瞬間移動みたいなの便利だね」「そうでしょう?」レンはなぜか自分が褒められたように嬉しそうだ。「あっ、穂香さん。恋愛相手の一人、穴織くんが登校してきましたよ! 仲良くなるチャンスです!」「え? あ、う、うん!」覚悟を決めた穂香は「穴織くん、おはよう」と挨拶をした。すぐに穴織は爽やかな笑みを浮かべる。「白川さん、おはよーって、あれ? 今日は早いな? 白川さんがおるってことは……」と言いながら、穴織はニッと笑って白い歯を見せた。「やっぱり、レンレンもおるやん! 自分ら、ほんとに仲ええなぁ」レンは「そんなことはないですよ」と口元だけで笑っている。ニコリともしていない緑色の瞳は、穂香に向けられていて『ほら、もっと話せ!』と無言で訴えていた。(レンからの圧が、圧が強い!)穂香が必死に会話を探しているうちに、穴織は他の生徒に呼ばれて行ってしまった。「穂香さん」と、背後からレンに名前を呼ばれた穂香は、思わず「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。怒られそうとおびえながら振り返ると、レンは小さなメモ帳を手に持ちめくっている。「とりあえず穴織くんと挨拶はできましたね。彼は、毎朝これくらいの時間に登校しているので、私たちも明日からこの時間に登校しましょう」「えっと」穂香が戸惑っていると「どうかしま
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第8話 イケメン(黄)は財閥の跡取り
【同日 昼休み/体育館裏】穂香(ほのか)は目の前に浮かぶ文字を見つめた。(午前中の授業を全部飛ばして、もうお昼休みになってる……)ガヤガヤと騒がしい教室とは違い、体育館裏は静かだった。レンは、また小さなメモ帳をめくっている。「ここにいるはずなのですが」「誰を探しているの?」穂香の質問を聞いたレンは、呆れたようにため息をついた。「あなたの恋愛相手に決まっているでしょう? そもそも、穂香さんは今、恋愛ゲームのメインキャラ以外は見えないようになっているんですよ」「あっ、そうでした」しかも、恋愛相手の髪と目の色が赤、黄、青とカラフルになっていて分かりやすい。ふと、穂香の視界の隅に黄色が見えた。体育館裏の角に誰かいる。穂香は小声でレンに耳打ちした。「レンが捜しているのって、もしかして金髪の生徒会長?」「はい、そうです」だったら、さっき見えた黄色は生徒会長の髪かもしれない。「あそこにいるみたい。挨拶に行ったほうがいいかな?」「そうですね。とりあえず、顔見知りにならないと何も始まりませんから」「えっと、じゃあ穴織くんのときみたいに、生徒会長の情報も教えてくれるの?」穂香の質問に、レンは「もちろんです」と答えた。「生徒会長は、様々な業種の経営している企業グループの跡取りですね」穂香が「それは、お金持ちってこと?」と尋ねると、レンは「はい、ものすごくお金持ちということです。今より昔の言い方ですと、財閥とか言ったりもしましたね」と教えてくれる。「財閥って……」驚く穂香に、レンは「では、頑張ってくださいね」と無責任な言葉をかけた。(何をどう頑張ったらいいのやら。仕方がないから、偶然会ったふりして挨拶だけでもしようっと)穂香が体育館裏の奥に歩いて行くと、足音で人が来たことに気がついたのか、少し見えている黄色が慌てたように揺れた。(移動されたら困るんだけど!)穂香は速足で近づき、ひょいと角を覗き込む。そこには予想通り生徒会長がいた。輝く金髪に、宝石のような黄色い瞳が穂香を見つめている。(す、すっごい美形!)レンも穴織も、どちらもとても顔が整っている。二人ともアイドルができそうなイケメンだった。でも、初めて近くで見た生徒会長は、イケメンを通り越して、もはや王子様のようだ。穂香がポカンと口を開けていると、生徒会長は手に持っていたお弁当
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第9話 イケメン(青)は世界最強
「え?」驚く穂香に生徒会長は、困ったように微笑みかける。「僕もクラスの居心地が悪くてね。昼休みは、いつもここにいるんだ。君とは理由が違うんだけど」「そうなんですね……」その理由は、初対面の穂香には教えてくれなさそうだ。「だから、いつでもここにおいでよ。僕でよければ相談にのるから」「ありがとうございます!」穂香がお礼を言うとチャイムが鳴った。あと5分で昼休みが終わる。生徒会長はお弁当を片づけて立ち上がった。穂香が「あっ、お弁当を食べる邪魔をしてしまいましたね」と伝えると、生徒会長は「いいんだ、いつも多すぎて食べきれないから」とため息をつく。「じゃあ、また」「はい」生徒会長の背中が見えなくなった頃、どこに隠れていたのかレンが姿を現した。「どうでしたか?」「それが……。いつでもここに来ていいって。相談にも乗ってくれるって」「やるじゃないですか」「自分でもビックリだよ。友達になれたわけじゃないけど、生徒会長と顔見知りにはなれたと思う」「素晴らしい成果ですね! さすが穂香さん」手放しでレンが褒めてくれるので、なんだか照れくさい。「では、最後の恋愛相手に会いに行きましょうか」「最後は、先生だよね」「そうです」レンの言葉を聞いた穂香は、ずーんと心が重くなる。「先生と生徒の恋愛なんて、マンガやゲームの中だけの出来事だよ。現実では無理だって」「大丈夫ですよ。ここはゲームの世界なので」「あっ、そうだった……」穂香がため息をつくと、また風景が変わり、目の前に文字が浮かんだ。【同日 放課後/職員室前】「まさか、職員室の中に入っていけとは言わないよね?」「入るしかないんじゃないですか?」「他の先生もたくさんいる中で、松凪先生と仲良くなれと!?」「大丈夫です。他の先生はモブなので、あなたには見えませんよ」「そうでした……」「しっかりしてください」と言いながら、レンはまた小さなメモ帳をめくる。その様子を見ながら、穂香は『無理でもなんでも、結局やるしかないんだよね』とあきらめた。「もう、今日の授業の質問でもして無理やり先生に話しかけるよ。それで、先生の情報は? 何者なの?」またどこかの御曹司や財閥の跡取りなのかもしれない。穂香が、『とりあえず、お金持ちには違いない』と思っていると、レンは予想外なことを言った。「先生は、世界で一
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第10話 じゃあ、イケメン(緑)は?
穂香のほうを振り返った先生は「おっ、白川。どうした?」と自然体で話す。穂香は事前に考えておいた質問をした。「あの、先生。さっきの授業で分からないところがありまして……」「うん? どこだ?」そう言った先生は、フッと噴き出す。「おい、白川。質問するなら、自分の教科書ぐらい持ってこい」「あっ!?」「まぁいい。俺のを貸してやるから。どこだ?」先生に教科書を借りて、「ここです」と伝えると丁寧に教えてくれる。いつもながらダルそうな雰囲気をまとっているが、穂香に対して、少しも嫌そうな顔をしない。(こういうところが、いろんな生徒に好かれるんだろうなぁ)そんなことを思っているうちに、先生の説明が終わる。「分かったか?」「はい、ありがとうございました」「分からないところがあればいつでも来い」穂香は、礼儀正しく頭を下げてから職員室を出た。職員室の入り口では、レンが待ち構えている。レンの顔を見たとたんに、穂香は全身の緊張が解けるような気がした。おかしな状況だけど、味方がいるということが、とても心強い。「どうでしたか?」「あ、うん。分からないところを質問して教えてもらったよ。いつでも質問しに来ていいって」自分のことのように喜ぶレンを見て、穂香は深いため息をついた。「一日でどっと疲れたんだけど」カバンを取りに行くために、重い身体を引きずるように教室へと向かう。そんな穂香の後ろを、レンは足取り軽くついてくる。「穂香さん、よく頑張りましたね。それで、恋愛相手達は、どうでしたか?」「どうでしたかと言われても……」挨拶したり、顔見知りになったり、質問したりくらいしかしていないが、それでも穂香は分かったことがある。「いや、誰とも恋愛なんて無理だよ? 皆、顔がいいし、スペック高いし、平凡な私とは生きている世界が違うって! もっと普通の人はいないの?」「いませんよ」レンに言い切られて、穂香は泣きたい気分になった。「この恋愛ゲームの世界で恋愛できる男性は、高スペックなのが一目で分かるように髪と目の色が変えられているんですよ。ですから、例えなんらかのバグが起きて、穂香さんに他の男性の姿が見えても、髪や目の色が一般的なら恋愛相手にはなれません」淡々と説明するレンを恨めしそうに穂香は見ていた。そして、ふと、レンの髪と目の色が緑色なことに気がつく。「そうい
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