基準を具体的に説明すると、まずは法的な枠組みと業界の運用ルールの二つを分けて考える必要がある。日本では刑法175条が「わいせつ物」の頒布を禁じているため、性器の露出や性交をきわめて具体的に描く場合、出版社側は成人向け(R18相当)として扱い、販売や配信で年齢確認を行うのが基本になる。私が編集目線で作品を評価するときは、描写の「明確さ」と「意図」を重視している。つまり、単なる恋愛描写や暗示的なシーンと、詳細な
交尾描写は別枠で判断されることが多い。
さらに配慮されるポイントとして、登場人物の年齢(未成年かどうか)、同意の有無、動物や非人間との行為の有無、暴力的・搾取的な文脈の存在がある。これらが一つでも該当すると、単なる成人指定以上に厳しい取り扱いになり得る。たとえば過去に騒動になった作品では、未成年を想起させる描写や暴力的な性描写が問題視され、配架制限や流通停止になった例も私の記憶に残っている。
最後に実務的な話だが、電子書店や同人販売サイトでは作品にタグや年齢制限が付けられ、購入時に年齢認証を求めることが一般的だ。書店では成人向けコーナーや箱入りでの販売が行われる。読者としては、表紙や裏表紙、目次付近の注意書きを確認することで、どの程度の描写が含まれているかを判断しやすくなると思う。