採用の現場では、出身大学がひとつの目安にはなりますが、それがすべてを決めるわけではありません。大企業の新卒一括採用やポテンシャル採用では大学名がスクリーニングの材料になりやすく、いわゆる「
fラン大学」出身だと応募段階で不利になる場面があるのは事実です。一方で中小企業やベンチャー、技術職やクリエイティブ職などでは、実務能力やポートフォリオ、面接での熱意・論理性が重視され、大学名よりも個人の成果を見てくれるケースも多くあります。私自身、採用担当と話す中で「学歴は参考にはするけれど、その人の経験やスキルで十分覆せる」と言う声を何度も聞きましたし、逆に高学歴でも書類で落ちる人を見てきました。
履歴書の評価で特に見られるポイントは、具体的な経験の有無です。アルバイトやインターン、ゼミでのプロジェクト、資格、独学で作った作品やGitHubの実績などは強い武器になります。成績(GPA)や学んだ専攻も見ますが、採用担当は「どんなアウトプットを出したか」「どれくらいの深さで取り組んだか」「問題解決のプロセス」を重視します。大企業の場合、応募者が多いためATS(応募管理システム)でキーワード検索されることもあり、職務経歴書や履歴書に求人票のキーワードを自然に含める工夫が有効です。推薦状や教授、社外でのコネクションがあれば、それも大きな後押しになります。
実務的な対策としては、目に見える成果を増やすことが最優先です。短期でも実務経験を作るためのインターン、フリーランスの案件、コンペ参加、公開できるポートフォリオ制作、業界で使われる資格や研修の修了証などを用意すると効果的です。履歴書では学歴欄だけに頼らず、冒頭の職務要約で自分がどんな価値を提供できるかを明確に書き、数字や事実で裏付けると印象が変わります。面接では謙虚さと自信のバランスが重要で、失敗から何を学んだか、短期間でどのように成長したかを具体例で話すと好印象です。
結局のところ、Fラン出身というだけで門前払いされる会社は存在しますが、見方を変えれば準備次第で勝負できる余地は十分にあります。私が見てきた成功例は、地道に経験を積んで自分の強みを示せた人たちでした。だから、学歴にとらわれずに実績を積み上げ、自分の言葉で伝えることに注力するのが一番現実的で効果的だと思います。