読む順について迷っているなら、まずは肩の力を抜いて『
サンラク』の導入部に身を任せるのがいいと思う。僕の経験だと、刊行順(単行本の番号どおり)で読むのが一番、作者の成長や伏線の張り方が自然に伝わってきて、物語の驚きや発見を素直に味わえる。序盤の1〜3巻あたりは世界観と主要人物が手堅く紹介されることが多いので、まずそこを読み切ってから続けるかどうか判断するのが精神的にも合理的だ。掲載時のカットや作者コメントがある版なら、それも楽しめる要素になる。
次に、特定の巻を選ぶ基準について僕なりの指針を共有する。アクション重視なら中盤に入る「転換の巻」――登場人物の立場が大きく変わるエピソードが収録された巻――を選ぶと一気に世界が広がる。逆に人間関係や背景設定が好きなら、サブキャラの回想や外伝がまとまった短編集や外伝巻を狙うと満足度が高い。表紙や目次で「この巻は○○編完結」「短編集」などの表記をチェックするだけで、求めるテイストに合う巻が見つかる確率が上がる。
最後に実用的なコツを三つ伝える。1) 試し読みページや冒頭数ページで絵柄や語り口に引っかかるかを確かめる。2) 重要度の高い回想や伏線がまとめられている「節目」巻を一冊押さえておく(作品によっては10巻台にそういう巻がある)。3) 刊行順で読むのがしんどく感じたら、単発読みできる短編集や外伝に飛んで息抜きする。補足として、僕は過去に『ベルセルク』を刊行順で追ったときに伏線の編み方に感心した経験があるから、出た順に触れていくのは本当に味わい深いと感じている。読み進めるうちに自分の好みも明確になるから、気楽に一歩ずつ進んでほしい。