戦術的な側面に着目すると、原作のリタは計算高く、任務遂行に特化したプロフェッショナルとして描かれることが多い。戦場での一挙手一投足が周囲の評価や伝承に結びつき、強さそのものがキャラクターの核になる。だからこそ距離感が生まれ、冷静さや孤立が目立つ。
映画では、その戦術性はビジュアルとテンポに翻訳され、動きと表情で素早く伝えられるぶん、リタの人間性や柔らかい側面も強調される傾向がある。恋愛的な伏線や相互依存の描写が加わることで、単独の伝説からチームや相手と関わる人物へと方向性が変わるのだ。
映画化による変化を別作品の軍人描写と比較すると、'フルメタル・ジャケット'のような無機質な戦闘
描写とは違い、こちらは物語の中心に“感情の交換”を据えるためにリタが再構築されている印象を受ける。だからこそ両者を比べると、原作がリタの神話性を尊重する一方、映画は人間関係と視聴者の感情を優先したという違いがはっきりする。