ページをめくった瞬間から、物語の重心がじわじわと心に沈んでいく感覚があった。'
道連れ'は単純に二人が一緒に行動する話ではなく、運命や偶然が人間関係をどのように絡ませるかを静かに示している作品だと思う。
僕は登場人物たちの些細な選択や言葉の応酬に注目した。そこには善悪の二元論に収まらない複雑さがあって、作者は読者に答えを与える代わりに問いを突きつける。たとえば『ノルウェイの森』のような喪失と共感の
描写とは違う角度から、人と人が引きずるものの重さを見せてくる。
結局、作者が伝えたかったのは対人関係における責任の曖昧さと、それでも生きていくための小さな選択の意味だと感じる。読了後に残る余韻が、そこに込められた意図の証拠だと思う。