そよ風の中、また君に白石葵(しらいし あおい)は小さい頃からおとなしい優等生だった。大学3年生の時、学校のイケメン・早川涼太(はやかわ りょうた)に口説かれるまでは。
涼太は彼女を誘い出した──
裏山の森で、図書館の片隅で、自習室で……
「これが運命の出会い」と思っていた葵だったが、ある日、涼太と友人たちの会話を耳にしてしまう。
「涼太、マジで鬼畜だな!元カノのためにわざわざ葵さんに近づいて、孕ませようとしてたんだろ?元カノの大学院推薦枠を奪わせないようにするためだって?」
その瞬間、葵は悟った。
自分が信じた「愛」は、全て嘘だったのだ。
葵は静かに去ることを選んだ。
しかし涼太は狂ったように、彼女を探し回るのだった。