僕は『
道連れ』の主要キャラたちを、それぞれが抱える倫理的負荷の具現化として読んでいる。主人公は罪の重さと向き合う窓口になり、相棒的な人物は同調や責任転嫁の象徴として立つ。登場人物同士の関係性を追うことで、物語は個の選択が連鎖して他者にどう影響するかを問いかける。
表面的な事件の解決だけを追うと見落としがちだが、細かな描写——視線の交わし方や言葉にしない振る舞い——がテーマを深める。対比として'人間失格'の孤独や自責の重さを思い出すと、登場人物一人ひとりが読者にとって鏡にも凶器にもなり得ることが分かる。物語が示すのは単なる善悪の裁きではなく、共犯性と
赦しの複雑さだ。
だから僕は、各キャラを単独の記号として読むのではなく、互いに響き合う声として読み取りたい。そうすると『道連れ』は、人間関係の脆さと連帯の可能性を同時に示す作品として胸に残る。