反語表現は、言葉の表面と裏の意味にギャップを作ることで、通常のセリフより深い印象を残すテクニックです。読者が「あ、これは本当は逆の意味だ」と気付く瞬間に、作品への没入感が生まれます。
特に推理ものやサスペンスでは、犯人が『私にそんなことができるだろうか?』と話すことで、かえって
怪しさを増す効果があります。日常会話では使いにくい大げさな表現も、フィクションなら違和感なく受け入れられるのが魅力。
最近読んだ『薬屋のひとりごと』では、主人公が『お役に立てて光栄です』と言いながら内心では全く逆のことを考えている場面があって、そのギャップがキャラクターの複雑さをよく表していました。文字通り受け取ると全く違う意味になるので、読者に考えさせる余地を与える手法と言えます。