古書店の店主は古い本で本棚オシャレを作るときの保存方法をどう提案しますか？

保存の基本を押さえれば、見栄えと安全性は両立する。
私は短いチェックリストを作って店舗で使っている。まず温度はおおむね20℃前後、湿度は45±10%を目標にする。次に光対策として、直接光を避ける、あるいはUVフィルムやUVガラスを活用する。棚は強度のあるものを選び、棚板がたわむ場合は中央に仕切りや支えを入れる。

取り扱いでは、雑な付箋やテープは使わない。書き込みが必要なら別紙を用意して管理する。重い大型本は寝かせて保管し、頻繁に触れる名品はカバーをポリエステル系の保護フィルムで覆うと効果的だ。虫やカビのチェックは月1回程度行い、必要ならフェロモントラップと乾燥剤で環境を整える。保管箱を使うときは中性酸処理されたアーカイバルボックスを選び、替えの緩衝材には酸性のない紙やクッション材を用いる。

最後に、見せる工夫としては同じ高さで揃える以外に、背表紙の色をまとめたり、断面が傷みやすい本は背を手前にしないといった配慮をする。個人的には古典的な一冊、'吾輩は猫である'のような目を引く装丁を一冊だけ見せておくと、棚全体の印象が引き締まると感じている。

見た目重視で並べるとき、まず考えるべきは“保護しながら魅せる”というバランスだ。
私は展示向けの工夫をよく試すタイプで、壊れやすい装幀は透明なポリカーボネートやUVカットのアクリル製カバーで守ることが多い。これなら光を和らげつつ表紙を見せられる。だが密閉しすぎると湿気がこもるので、通気と遮光の両立を意識する。

美術的な並べ方のコツとしては同系色をまとめる、サイズを揃えて上下に余白を作る、奥の列に予備の冊子を置いて前列を保護する、といった手法を使う。手に取られる頻度が高い本は複製や見本を用意して、本体は別保管するのが賢明だ。棚自体の素材にも注意していて、無処理の合板は揮発物が出ることがあるから、表面処理されたものや金属の支柱を選ぶことが多い。

空間演出の小技としては、薄いアーカイバルボックスをアクセントとして入れる、装丁のないページ端を見せないようにカバー角度を工夫する、ということをする。管理面では湿度調整剤やデシカントを適切に使い、虫害対策としてフェロモントラップなどで常時チェックする。展示と保存を両立させるコツは、魅せ方を決める前に優先順位を明確にすることだ。ちなみに、テーマ棚を作るときに参考にしたのは'指輪物語'の初版装幀の色合わせで、視覚的インパクトを保ちながら劣化を抑える工夫が役立った。

本の匂いを嗅ぐと、手入れのコツが頭の中で組み立てられていくことがある。

まず温度と湿度の管理を優先するよ。理想は温度約18〜22℃、相対湿度40〜55%程度で安定させること。急激な変動が紙を痛めるので、空調や除湿器を活用して徐々に保つようにする。直射日光は色あせや紙の脆化を招くから、窓際に並べない。どうしても見せたい場合はUVカットのフィルムやガラス戸を検討すると安心だ。

並べ方は機能と見た目を両立させるのが好きで、背表紙を揃えるときは詰め込み過ぎに注意して空気が循環するスペースを残す。重いものは横に寝かせて棚板のたわみを防ぎ、古い装丁が弱いものは酸性の紙と接触させないように中性紙の仕切りやアーカイバルボードで保護する。埃は柔らかい馬毛ブラシでやさしく払うだけで十分だ。

展示用にオシャレさを出すなら、実用的な工夫も忘れない。希少本は複製やカバーのレプリカを表に出し、本体は酸性のない箱に収める。色やサイズでグルーピングしたり、水平積みと垂直並びを混ぜてリズムを作ると棚全体が絵になる。個人的には、古典的な一冊'グレート・ギャツビー'のような美しい背を一冊だけ見せておくと、控えめで品のあるアクセントになると思う。最後に、定期的な点検と記録を欠かさないことが、長期保存の鍵だと感じている。