まず、ポピュラー系だとゴシック/シンフォニック寄りのバンドが鉄板。特におすすめはエヴァネッセンスのアルバム『Fallen』で、タイトル通り堕落や失意をテーマにした曲が多く、エモーショナルなボーカルと重厚なアレンジが“堕ちた美しさ”をそのまま音にしている。ナイトウィッシュはシンフォニック・メタルの王道で、『Ghost Love Score』のような楽曲は天的な荘厳さと暗さを同時に持っていて、物語性のあるサウンドが好きな人にはたまらないはず。ウィズイン・テンプテーションも同系統で、耽美でドラマチックな音作りが堕天使イメージに合う。
最後にクラシックや現代音楽の中にも堕天使の情緒を喚起する作品がある。モーツァルトの『レクイエム』の“ラクリモーサ”や、アルヴォ・ペルトの『Fratres』や『Tabula Rasa』のようなミニマルで聖性と静寂を同時に表現する音楽は、堕落と救済の狭間を音で味わいたいときに効く。聴き方としては、まずは『Fallen』か『Ghost Love Score』あたりで“声とオーケストラ”のドラマ性を感じ、その後『NieR』で電子と合唱の混ざり合いを楽しむと、堕天使というモチーフの幅広さが見えてくると思う。音楽を通して、堕天使の美しさと哀しみを存分に味わってほしい。