僕は創作まわりの話を聞くのが好きで、だからこそ真っ先に勧めたくなるのが『妹さえいればいい。』だ。主人公が妹への強い想いを創作欲と結びつけている描写が面白く、
兄妹愛がただのファンディスク的な描写に留まらないところが魅力だ。彼の妹がただ可愛いだけでなく、創作や人間関係に影響を与える「触媒」として機能しているので、単純な
ブラコンものとは違う深みがある。
物語はコメディ寄りのテンポで進むが、創作の苦悩や友情、嫉妬といった要素も混ざっていて、笑いとほろ苦さがバランスよく同居している。映像面やキャラの掛け合いもテンポが良く、妹への過度な独占欲が主題でありながら、最終的には兄自身の成長や人との距離感について考えさせられる。
もし「妹が好きな兄」という設定で単純に甘さだけを求めているなら別作品の方が合うかもしれないが、キャラの心理や創作背景まで楽しみたい人にはとてもおすすめだ。自分は何度か見返して、そのたびに細かいキャラ描写が染みるタイプの作品だ。