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実利主義の心理的葛藤を描くなら『ウォール街』が傑作だ。主人公バッドがゴードン・ゲッコーの「貪欲は善」という哲学に染まる過程が、資本主義社会の病巣を暴く。
80年代の株式市場を舞台に、金銭的成功と倫理観の狭間で引き裂かれる人間の姿が、ミステリーサスペンスの要素も交えながら展開される。特にゲッコーの株主総会演説は、実利主義の美辞麗句を解体する名シーンとして語り継がれている。
金融取引の裏側にある人間ドラマを、スリリングな展開で描きつつ、最終的に提示されるのは物質主義の虚しさだ。
『マネー・ショート』は実利主義が招いたリーマン・ショックを風刺的に描く。
サブプライム危機を予測した異端の投資家たちの視点で、金融業界の狂気をブラックユーモアたっぷりに暴いていく。数式や経済用語をポップに解説する手法が、難解なテーマをアクセシブルにしている。
実利追求のシステムが崩壊する過程で、誰が本当の勝者なのかという根源的な問いを投げかける。経済的利己主義が招いた社会的被害を、皮肉とウィットに富んだ演出で描き出す異色作だ。
『ソーシャル・ネットワーク』は実利主義の本質を鋭く描いた作品だ。
マーク・ザッカーバーグのキャラクターを通じて、現代社会における成功の代償と人間関係の希薄化を浮き彫りにしている。特に、ビジネスの成功のために友情を犠牲にするシーンは、実利主義の危うさを痛感させる。
技術革新と資本主義が交差するこの物語は、目的のために手段を選ばない姿勢がもたらす光と影を、ドキュメンタリー的なリアリズムで表現している。最後の法廷シーンで主人公が友人に送るメッセージリクエストは、実利主義の果てにある孤独を象徴的に描き出している。