アダルトコンテンツにおける寝取られ(NTR)ジャンルの心理的・文化的分析は、近年のポルノグラフィ研究で一定の注目を集めています。例えば『欲望の解剖学』(2018)では、被虐的快感と社会的規範の衝突をフェミニスト理論の観点から考察しており、権力関係の逆転としてのマゾヒズムに一章を割いています。
より直接的な分析としては、『エロティシズムの社会学』(2020)の第4章が興味深いです。ここでは読者調査データを基に、NTRマゾ的嗜好を持つ人々の67%が現実では一対一の関係を好むという矛盾を指摘し、仮想体験としてのシミュレーション需要を論じています。ただし学術書では『寝取られ』ではなく『第三者介入型性愛幻想』といった中立的な用語が使われる傾向にあります。
ゲーム研究の分野では、『Visual Novels as Psychological Narratives』(2021)が『妻の肉欲』などの作品を事例に、プレイヤーが痛みと快楽を同時に消費するメカニズムを認知心理学で解明しようと試みています。特に選択肢のない展開こそがマゾ的満足を生むという逆説的な指摘が示唆的でした。
性科学の専門誌『Archives of Sexual Behavior』2022年号に掲載された横断研究によれば、この嗜好の背景には「所有意識の解放」と「共有対象の神聖化」という二つの相反する心理が共存している可能性が示されています。ただし、あくまでフィクション消費時の反応を測定したもので、現実の行動傾向とは区別が必要との注釈が付いていました。