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根絶やしというテーマは、しばしば人類の存在意義や倫理観を問いかける強いメッセージを伴います。例えば『進撃の巨人』では、壁の外の巨人たちを根絶するか共存するかというジレンマが物語の核心となっています。主人公たちの選択は単なる敵対関係を超え、暴力の連鎖や憎悪の再生産という普遍的な問題にまで及んでいます。
SF作品では『Ender's Game』が興味深いケースです。主人公が知らずに行った行為が異星文明の絶滅につながり、その罪悪感から後の人生が大きく変わります。ここでは「敵」の完全消滅が必ずしも勝利ではなく、むしろ新たな苦悩を生むという逆説が描かれています。
このテーマを扱う作品に共通するのは、単純な善悪の構図を拒絶する姿勢でしょう。読者や観客はキャラクターの決断を通じて、自分ならどうするかという根源的な問いを突きつけられます。
根絶をテーマにした作品でまず思い浮かぶのは『ウォーゲーム』という映画です。冷戦時代を舞台に、コンピュータが誤った判断を下すことで核戦争が勃発しそうになるストーリー。機械が人間の手を離れて「敵」を完全に抹消しようとする過程には、現代のAI倫理問題をも先取りするような不気味さがあります。
小説では『永遠の0』が別の角度からこのテーマに触れています。戦争という極限状況下で、個人が「敵を根絶せよ」という大義とどう向き合うか。主人公の葛藤は、国家と個人、命令と良心の狭間で引き裂かれる人間の姿を浮き彫りにします。戦後世代が祖父の戦争体験を追う構成が、過去の過ちを風化させまいとするメッセージとなっています。
こうした作品が示すのは、絶滅という行為が往々にして行為者自身をも変質させてしまうという皮肉です。
ディストピアものによく見られるパターンとして、支配者が特定の集団を抹消しようとするプロットがあります。『ハンガー・ゲーム』シリーズでは、反乱を起こした地区に対する首都の報復が、まさに根絶やしを企てる様子を描いています。虐殺的な暴力ではなく、徐々に文化や歴史を消し去る「ソフトな絶滅」の恐ろしさが印象的でした。
日本のアニメでは『東京喰種』が面白いアプローチをとっています。喰種と人類の共存不可能性を前提にしながら、両者が互いを絶滅させようとする過程で、実は同じような怪物になっていくという逆説。敵を滅ぼすことが自己の人間性を損なうというテーマは、現実の戦争報道を彷彿とさせるところがあります。
こういった物語は、単なるエンタメを超えて、私たちの内なる排除の論理に警鐘を鳴らしているようです。