平沢進の音楽は時代ごとに進化を続け、各年代で独特のサウンドを生み出しています。1980年代後半に『P-MODEL』として活動していた頃から既に先駆的な電子音楽を追求していましたが、ソロ転向後の1989年『時空の水』はアンビエントとロックの融合として衝撃を与えました。
1990年代に入ると『AURORA』や『Sim City』といった作品でより
叙事詩的なスケール感を獲得。特に『賢治のトランク』シリーズでは宮沢賢治の世界観を音響化するという野心的な試みが見られます。2000年代の『白虎野』では劇伴音楽の手法を取り入れつつ、『乗り物を降りる瞬間』のようなポップセンスも光ります。近年では『Planet Roll Call』で宇宙的なテーマを深化させ、常に最先端の表現を追求し続けています。