怠惰さを音で描くとき、まず僕は“余白”を楽器で作ることを考える。ブラシで撫でるスネアや軽いウッドベースのウォーキングではなく、弦を指でゆっくり押さえた倍音の豊かな音、ミュートしたトランペット、ローズ・ピアノの柔らかいコードが効く。テンポは遅めに設定しても、拍の位置をわずかに後ろにずらすことで「だらり」とした時間感を生み出せる。
加えて編曲では持続音と沈黙を交互に置く。単純なモチーフを繰り返すだけで、聴き手に能動的な追従を促さず、気だるさを増幅できる。音色仕立ては温度感が重要で、軽いコンプレッションやテープ飽和を足して粒を丸めると、疲れた空気が伝わる。映画『'The Big Lebowski'』の一部楽曲が示すように、スローで脱力したグルーヴと選ばれた音色が合わさると、映像の怠惰さを非常に自然に補強できると思っている。