捕吏というのは、現代でいう警察官や捜査官のような役割を担っていた歴史的な存在です。主に江戸時代の物語に頻繁に登場し、『鬼平犯科帳』や『遠山の金さん』といった時代劇でお馴染みのキャラクターとして描かれています。彼らは奉行所の指揮下で犯罪者の逮捕や取り調べを行い、時には潜入捜査もこなす多才な存在でした。
捕吏の面白さは、その二面性にあるかもしれません。表向きは町の治安を守る正義の味方ですが、元々は盗賊や博徒出身の者も少なくなく、闇の世界の事情に通じているからこそ活躍できるという複雑な背景を持っています。『子連れ狼』の拝一刀のように、元捕吏という設定のキャラクターが物語の主人公になることもあり、その境遇や生き様が劇的な要素として機能します。
捕物帳と呼ばれるジャンルでは、捕吏たちの機転や剣の腕前が光る瞬間が読みどころです。例えば岡っ引きと呼ばれる下級の捕吏は、市井の情報網を駆使して事件を解決する姿が描かれ、庶民派ヒーローとして親しまれてきました。
時代小説ファンなら、捕吏たちが繰り広げる人情劇とサスペンスフルな展開に胸を躍らせた経験があるのではないでしょうか。