翻訳プロジェクトに取り掛かると、まずはタイトルが伝える感情の核を見極めようとする。『裏切り者に復讐の花束を絶対に許さない』は語感が強く、怒りと美意識が同居している。直訳に寄せれば、'I Will Never Forgive the Traitor's Bouquet of Vengeance'のように意味は残るが英語圏の読者には冗長で詩的すぎる印象を与えるだろう。
そこで私が考えるのは三つの方向性だ。第一に、感情をストレートに伝えるもの:'Never Forgive a Traitor's Bouquet'。第二に、簡潔で力強いもの:'Bouquet of Vengeance'(副題で絶対の拒否感を補強する手もある)。第三に、語り手の決意を前面に出すもの:'No Forgiveness for Betrayers'。それぞれ狙いが違い、マーケットや作品のトーン次第で選ぶべきだ。
長年復讐譚を読み込んできて、例えば'The Count of Monte Cristo'のようにタイトルで期待感を作る作品は、言葉の重さとリズムを何より重視している。私は、英語タイトルは短く、引っかかりがあり、作品の肝を補完する副題をつけるのが現実的だと感じる。最終的には原作の美学を損なわずに目を引く表現を選ぶことが鍵だと思う。