興味深い問いですね。書籍で公開されている設定資料の範囲は、作品や出版社の方針によってかなり差がありますが、
ウルテに関して言えば「公開されているもの」と「非公開にされがちなもの」がはっきり分かれています。個人的には、公式アートブックや設定資料集で見られるのはキャラクターの全身図、表情バリエーション、衣装の細部、カラーパレット、武器や小物のデザインスケッチ、そしていくつかのラフ案や没案が中心だと感じます。これらはファンがデザインの成り立ちや細かな意匠を理解するのに十分な情報が載っている一方で、制作現場の“設計図”までは踏み込んでいません。
具体的に目にすることが多いのは、正面・側面・背面が揃ったターンアラウンド(回転図)、顔や手元のクローズアップ、アクセサリーや武具の分解図、素材感や縫い目の注釈、場合によっては動きを考慮した表現ノートやシルエット研究です。さらに、初期スケッチと完成版の比較や作者コメント、色の微調整の過程が掲載されていることもあり、そこからデザイン判断の理由やテーマ性が読み取れるのが楽しいところです。限定版や豪華な設定資料集だと未公開ラフやスタッフの解説が多めに入っていて、より深掘りできます。
公開されない傾向にあるのは、3Dモデルのポリゴン数やボーン構成、アニメ用の原画や動画ファイル、テクスチャの高解像度データ、縫製用のパターン図、内部制作資料に含まれる細かい指示書など、実制作に直結する「作り込みデータ」です。商用利用のための完全な設計図や、他媒体展開に必要な素材も通常は別のライセンス管理下にあります。もしより詳細を求めるなら、公式のインタビュー記事や制作特典、設定資料集の限定版をチェックすると、通常版には載っていない注釈やラフが見つかることがあるし、出版社や公式サイトのアナウンスで追加公開されることもあります。個人的には、公開範囲のバランスがうまく取れていて、見る側としては想像の余地が残されていることが作品の魅力を保つ要素だと感じています。