コスプレで
ウルテの衣装を再現するとき、まず僕がこだわるのは資料集めの徹底さだ。正面・側面・背面、それぞれのアングルでの画像を用意し、色味やテクスチャ、装飾の配置を細かくチェックする。可能なら原作のカラーパレットを取り込んで色の基準を作り、スクリーンショットの拡大で縫い目の種類や金具の形状を確認する。資料が揃えば、次にパターン作り。既存のパターンを改変するのか、一から型紙を起こすのかを決めるが、僕はまず紙で簡易モック(試作)を作ってフィット感やプロポーションを確かめる派だ。
素材選びはウルテの雰囲気を左右する重要なポイントで、布地は光沢や落ち感を重視して選ぶ。アーマーや硬質パーツはEVAフォームやWorblaをベースにしてシェイプを出し、エッジは熱で整えてからサンディングして塗装に回す。厚みや曲線が多いデザインはフォームで作ってから樹脂を塗ることで強度を確保することが多いけれど、細かい装飾は3Dプリントやレジンキャストで複製するのが楽で仕上がりも綺麗になる。服部分は裏地や芯材を入れてシルエットをキープし、縫い目を見せない位置にファスナーやマジックテープを仕込むのが僕のこだわりだ。
ウィッグとメイクでキャラクターらしさを出す工程も欠かせない。ウルテの髪型を再現するには、ベースウィッグのレイヤー調整とスプレーでの形状固定、場合によってはワイヤーや内張りでボリュームを保持することが役立つ。メイクはライトの下でどう見えるかを優先して、陰影を強めに入れたり、アイラインやハイライトで表情のディテールを強調する。手や顔の装飾がある場合はシリコンやラテックスで作ったパーツを接着し、肌との境目を馴染ませるようにペイントするのが自然に見せるコツだ。
最後に、本番での運用性を忘れないようにしている。重いパーツは脱着しやすく分割、可動域を確保するために関節部分は柔らかい素材で覆い、バックアップ用に接着剤や安全ピンなどの修理キットを持っていく。撮影時のライトや角度でシルエットが変わるので、事前に鏡やカメラでチェックして微調整するのも大事だ。こうして作り込むと、単なる再現に留まらず自分なりの解釈や使い勝手の良さも組み込めるから、毎回作るたびに学びがある。