語源をたどると、漢語の組み合わせが示す通りだ。『
万世一系』は文字通り読めば「万世=末代まで多くの世代」にわたり、「一系=一つの系統が続く」という意味になる。学問の場で私はまずこの語義的な出発点を押さえることから話を始める。言い換えれば、ある血統が断絶せずに続いているという主張を簡潔に表現した言葉だ。
歴史研究者はそこからさらに踏み込んで、史料と政治的文脈を区別して考察する。古代の系譜や天皇の継承については『古事記』や『日本書紀』の記述が根拠とされるが、研究者はこれらが神話的・編纂的な性格を持つことも指摘する。つまり、テクスト上では連綿とした系譜が描かれているが、実際の継承は政争や養子、女性の即位、血縁の交錯などで複雑だった痕跡がある。私はこうした差異を明示してから、社会政治的な意味合い—正統性の主張や国家イデオロギーとしての利用—に言及する。
結論として歴史研究者は、万世一系を単なる事実関係の記述と見るのではなく、「
権威づけのために用いられた概念」かつ「テクストで表現された理想的連続性」として分析する。現場では史料批判や系譜学的検討を重ね、事実と神話の境界線をできるだけ明確にしようと努めるのだと、私は説明することが多い。