火星の夕焼けを表現する際、多くのクリエイターが直面するのが『本当の色』の問題です。探査機のrawデータはモノクロームだったり、地球の視覚基準で補正されていたりするから。そのため、科学コミュニティとコラボしたプロジェクト『Mars in Color』のように、専門家の意見を取り入れつつ芸術的ライセンスを加えた作品群が生まれています。
'The Martian Portraits'は、火星探査車が撮影した生の画像をデジタルアーティストが再解釈した作品集だ。荒涼とした風景に鮮やかな色彩を加え、現実と幻想の境界線を曖昧にしている。特にクレーターのテクスチャや砂塵の舞い上がりを細部まで描き込んだページは、地質学的な正確さとアート性の両立が見事。
表紙を飾るオリンポス山のイラストは、夕焼けに染まる斜面のグラデーションが圧巻。科学雑誌『Nature』とコラボした解説付きの限定版では、地形の形成過程まで掘り下げていて、宇宙美術館の常設展示を彷彿とさせるクオリティ。架空の植生を加えたバージョンもあり、テラフォーミング後の火星を想像させる仕掛けが楽しい。