ある場面で、色も動きもいっせいに爆発したような錯覚に陥った。俺はその瞬間、編集とレイアウトの組み合わせが鍵を握っていると確信した。監督は短いカットを連続させるクイックカットと、あえて長回しを混ぜる対比を用いて、緊張の蓄積と解放を視覚化している。速いカットで視覚情報を過密に詰め込み、突然長回しで呼吸を与える――その振幅が情熱の鼓動を作る。
加えてスタイリッシュなグラフィック挿入やテクスチャの重ね合わせ、あるいはワイプやスプリットスクリーンの活用が、単なる演出の飾りではなく感情表現の拡張になっている。色彩設計やシルエットの扱いも含め、全体が一つのリズムを
奏でていた点に感心した。具体例としては『プロメア』の派手な編集感と色彩表現が頭に浮かぶが、そこでも似た手法が効果的に使われている。