辺鄙な土地を舞台にしたファンフィクションには、独特の風情と深みがあるよね。人里離れた場所ならではの孤独感や、自然との共生がテーマになった作品は、読む者を非日常の世界に引き込む力を持っている。
例えば、『とある魔術の禁書目録』のファンフィクションで、学園都市から遠く離れた山奥の集落を描いた話があった。超能力者と普通の人々の微妙な距離感が、雪深い土地の静けさと相まって、不思議な臨場感を生み出していた。登場人物たちが焚き火を囲みながら交わす会話からは、都会では味わえない人間関係の密度を感じた。
『狼と香辛料』の
二次創作で、交易路から外れた寒村を舞台にした作品も印象的だった。原作の経済要素を残しつつ、閉ざされたコミュニティならではの因習や信仰が絡み合う様子が、現実の民俗学的な事例を思わせて深みがあった。主人公たちが外部者として村の慣習に巻き込まれる展開には、ハラハラさせられた。
創作の面白さは、こうした
辺境の地に独自の文化や規則を構築できる点にある。孤立した集落ほど、そこで育まれる人間模様に個性が現れるものだ。読んでいて、自分もその土地の一員になったような気分にさせてくれる作品こそ、真に優れた辺鄙ものだと言えるだろう。