経験から言うと、
簀巻き描写の検閲は単に「見せていいか・いけないか」の二択ではなく、物語的必然性と表現の度合いを慎重に照らし合わせる作業だと考えている。
まず、シーンが物語の核にどう関わるのかを問い直す。残虐性が主人公の心理や世界観の説明に不可欠でないなら、別の表現で代替できる余地があるはずだ。次に観客の受容性を見極める。例えば'ベルセルク'のように暗く残酷な世界観を通じて登場人物の変化を描く作品では、読者に与える衝撃が物語の力を増す場合がある。一方で、単なるショック効果に終始する描写は編集側の裁量で抑制することが公共性の観点から望ましい。
最後に透明性を保つことが大切だ。削除や修正を行う場合は作り手の意図を尊重しつつ理由を明示し、年齢制限や警告表示を適切に付けるべきだと感じる。検閲は作品の核を壊す行為にならないよう配慮しつつ、読者の安全と表現の自由のバランスを常に考えるべきだという点で結論づけたい。