落ち着いた語り口で言えば、簀巻きの演出は文化的な文脈を無視できない。私は古い作品や地域の習俗を参照して、観客がそのイメージにどんな感情を持つかを想像する。ある文化では簀巻きが直情的な暴力の象徴になり、別の文脈では
葬送や隠蔽のメタファーになる。だからこそ表現の度合いや見せ方に慎重になる必要がある。
演技面では、遺体そのものよりも周囲の人間の反応を丁寧に描くことで、観客に強い印象を残せる。部分的なカットや反応のクローズアップで物語を語らせることも多い。編集では長回しで耐える時間を作るか、テンポを切って衝撃を与えるかで意味が変わる。撮影の現場で私が心掛けているのは、暴力の記号化に流されず、必ず物語的な必然性を据えることだ。
参考になる考え方は『ゴッドファーザー』のような古典的な構成にある。暴力の瞬間そのものを映さずとも、その後の影響で世界がどう変わったかを描けば、観客の想像力が強い力を持つ。私にとって最も大事なのは、描写が無意味なショックにならないようにすることだ。