例えば日本語の「余計な一言が藪蛇になった」を訳す場面では、カジュアルな会話なら'That extra remark just made matters worse.'を当てることが多い。やや生々しい比喩を使いたければ'That comment stirred up a hornet's nest.'とすれば、周囲を慌てさせたニュアンスが出る。一方で公式文書ややや丁寧な場面では'The remark exacerbated the situation.'や'It caused unintended trouble.'のように言い換えると自然だ。
翻訳のコツとしては、直訳にこだわらず「結果」を先に仮定してから英語表現を探すこと。原語が含む責任の度合い(本人の過失か他者の干渉か)を踏まえれば、'make matters worse'(一般的)、'stir up a hornet's nest'(人を刺激する)、'open a can of worms'(余計に複雑にする)など、使い分けが効く。私は文脈を読み取りながら最も自然で読者に届く表現を選ぶよう心掛けている。
候補としては'shoot oneself in the foot'(自分で自分の首を絞める)、'bring trouble upon oneself'(自分で災いを招く)、'compound the problem'(問題をさらに複雑にする)などが扱いやすい。前者はうっかりミスで自害的な結果を招いたニュアンス、後者はもう少し一般的で客観的な描写に向く。簡潔に状況説明を加えれば、読者にとって違和感のない訳出ができると感じている。
実践例を挙げると、軽い注意としての藪蛇なら'You just invited trouble.'という訳が効く。これは行為がトラブルの原因になったというニュアンスを端的に示す。誰かを挑発してしまった意味合いが強ければ'He poked the bear and things blew up.'のようにすることで当事者性と反応の激しさが出せる。もっと不可逆的で深刻な結果を示したければ'opening Pandora's box'という古典的な比喩が役に立つが、文化的素養が必要なので使いどころを選ぶべきだ。