英語翻訳の選択肢としてよく見かけるのは、訳語を付け足して説明的にする方法だ。たとえば「Battousai the Manslayer」とか「The Manslayer Battousai」といった表現だが、これは読み手に即座にイメージを与える反面、語が持つ二重性や悲哀、技術としての優雅さを平坦にしてしまう。私なら固有名は原型を保ち、前後の文脈や短い注釈で補完したほうが物語の余韻を壊さないと思う。
一方で「抜刀斎(battousai)」の語感は比較的強く英語にも伝わる。子音の連続や語尾の「ai」が持つ鋭さは英語圏の耳にも刺さるからだ。しかし「抜刀斎」が持つ歴史的・武術的なニュアンス、たとえば瞬時に抜いて切る技術の称号である点や、『斎』という雅な響きは、単に“manslayer”や“assassin”と訳すと失われる。実際、英語翻訳ではしばしば「Battousai the Manslayer」といった強いラベルが使われ、そうすると元の名前に含まれる技芸や儀礼的な側面よりも暴力性ばかりが先行してしまう。